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Research Activities

Research Projects

Refugees not willing to return

Overview

Leader Mikiyasu Nakayama (GSFC: Graduate School of Frontier Sciences)
Researcher Maiko Sakamoto (GSFC), Ryo Fujikura (Hosei Univ.), Satoru Mimura (Fukushima Univ.), Carl Bruch (Environmental Law Institute), , Nicholas Bryner(International Union for Conservation of Nature,USA),Syafruddin Karim (Andalas University,Indonesia),Jagath Manatunge (University of Moratuwa,Sri Lanka),Said Muhammad (Syiah Kuala University,Indonesia)
Term April 2014 - March 2015
Research Outline

Many people were obliged to leave their homes by the Great East Japan Earthquake (2011), Hurricane Sandy (2013) and Hurricane Katrina (2005). Some of these refugees refuse to come back home, despite the fact that they can come back home if they so wish. Presence of such unwilling-to-return refugees has created various societal problems with host communities.

This international collaborative research project aims at identifying the reasons why such refugees emerge and delineating possible solutions.

This study will be carried out with literature survey and interviews with relevant people.

Report

Leader Mikiyasu Nakayama (GSFC: Graduate School of Frontier Sciences)
Researcher Maiko Sakamoto (GSFC), Ryo Fujikura (Hosei Univ.), Satoru Mimura (Fukushima Univ.), Carl Bruch (Environmental Law Institute), , Nicholas Bryner(International Union for Conservation of Nature,USA),Syafruddin Karim (Andalas University,Indonesia),Jagath Manatunge (University of Moratuwa,Sri Lanka),Said Muhammad (Syiah Kuala University,Indonesia)
Term April 2014 - March 2015
Achievements Outline

The reasons why some refugees are not willing to return was identified with four cases in Asia (Fukushima, Japan; Padang, Indonesia, South-Eastern Sri Lanka, Maldives) and two cases in USA (Hurricanes Katrina and Sandy). Similarity among these cases was also found.

For the purpose of cross-comparison of the findings out of these cases, an expert meeting was organized. International seminars and symposium were held to disseminate the findings.

Activity Contents

(1) International Workshop "Improving Policy and Practice on Return Migration after Natural Disasters",13 June 2014, Fukushima Future Center for Regional Revitalization, Fukushima University, Japan

(2) International Symposium "From HIRONO’s point of view", 15 June 2014, HIRONO Town Community Center, Fukushima, Japan

(3) USJI Week Event "Improving Policy and Practice on Return Migration after Natural Disasters", 4 September 2014, Embassy Row Hotel (Washington DC, USA)

(4) "Refugees Unwilling to Return: Cases of the Indian Ocean Tsunami, Great East Japan Earthquake, Hurricanes Katrina and Sandy", 19 March 2015, East-West Center in Washington (Washington DC, USA)

Policy Paper

Leader Mikiyasu Nakayama (GSFC: Graduate School of Frontier Sciences)
Researcher Maiko Sakamoto (GSFC), Ryo Fujikura (Hosei Univ.), Satoru Mimura (Fukushima Univ.), Carl Bruch (Environmental Law Institute), , Nicholas Bryner(International Union for Conservation of Nature,USA),Syafruddin Karim (Andalas University,Indonesia),Jagath Manatunge (University of Moratuwa,Sri Lanka),Said Muhammad (Syiah Kuala University,Indonesia)
Term April 2014 - March 2015
Title 何故,過去の事例に基づく教訓が有効に活用されないのか?

大学あるいは研究所が「象牙の塔」で有り得た時代は既に過去のものになりつつあり,今日の社会では,「研究成果の社会還元」あるいは「研究からの知見を社会実装」等の形で,学術的な知見を社会において適用することが強く要請されている.将来においても,社会還元や社会実装が更に強く要請されることは想像に難くない.

東日本大震災に伴い発生した避難者の中には,元の居住地に帰還することが可能になっても,帰還を望まない,あるいは帰還を拒む人たちが少なからず存在することが明らかになってきている.例えば,福島県広野町では,東日本大震災前に居住していた約5500人の町民の内,2015年3月の時点で帰還しているのは約半数に過ぎない.

国際共同研究「帰還を拒む避難民」では,「帰還を拒む避難民」が発生した事例として,アジアでの4つの事例(日本[福島県広野町],インドネシア[パダン市],スリランカ[東南部の海岸域],モルジブ[全域])および米国での2つの事例(ハリケーン・カトリーナおよびサンディ)をとりあげ,「帰還を拒む避難者」発生に関する事例研究を実施し,避難者が帰還を拒む理由を特定すると共に,事例間での類似と相違について分析した.

福島県広野町の事例から,以下のような「帰還を拒む避難民」が発生する要因が特定された.

(1)避難先での福祉,医療,教育,利便性が元の居住地より優れている.

(2)元の居住地での福祉,医療,教育,利便性が震災前に比べて大幅に低下している.

(3)避難先の方が元の居住地に比べて就業の機会に恵まれている.

(4)避難先において無償で供与される住宅,援助物資,医療費や光熱費の免除などの支援が「既得権益」化し,これらの支援が供与される限りは元の居住地に帰還することを望まない.

(5)親の世代は帰還を望み,子供の世代は帰還を望まないことから,複数世代から成る家族全体として元の居住地に戻るという合意が成り立たない.

(6)元の居住地では嫁姑の関係が拗れていたが,避難先では嫁姑の同居が解消されたことで,元の居住地に戻ることを嫁(子供の世代)が望まず,家族全体として元の居住地に戻るという合意が成り立たない.

(7)子供の世代が帰還しないと,親の世代は移動の手段(子供の世代が運転する自動車)を欠くので,元の居住地での生活が成り立たない.

(8)放射性物質による汚染の健康への被害が不明確である,あるいは,廃炉作業が進んでいる原子力発電所による再度の事故発生を危惧している.

これらの要因は,東日本大震災の被災地でのみ観察されたのではなく,その多くは,それ以前にアジアの諸国や米国での災害発生後に生じた「帰還を拒む避難民」の事例でも観察されていた.例えば,上記「(1)避難先での福祉,医療,教育,利便性が元の居住地より優れている.」はインドネシア,モルジブ,米国での事例でも要因として指摘されていた.「(3)避難先の方が元の居住地に比べて就業の機会に恵まれている.」はインドネシアおよび米国の事例で,「(4)避難先において無償で供与される住宅,援助物資,医療費や光熱費の免除などの支援が『既得権益』化し,これらの支援が供与される限りは元の居住地に帰還することを望まない.」はモルジブでの事例で観察されていた.

加えて,被災地からの移転では「集団で同じ場所(仮設住宅)に移転」する場合と「個々に移転」する場合とがあり,その得失が議論されているが,同様な事象は公共物の建設による非自発的な移転でも過去に多く生じており,移転の方式による得失も現実の事例に於ける観察から議論が為されている.

このように,東日本大震災に起因する移転について観察された問題の多くは,国内外で発生した過去の事例からの教訓を踏まえることで,その問題が解決あるいは軽減し得た局面も多かった筈である.しかし,現実には,過去の事例に基づく教訓が有効に活用されたとは言い難い.

上記の,アジアの諸国や米国での災害発生後には,日本からも多くの調査団が派遣され,災害により生じた避難者への対応に関しても,多くの調査が実施され報告書が刊行された.そのような努力が過去に為されているにも関わらず,何故,東日本大震災による被災者の対応では,過去の事例に基づく教訓は有効に活用されていないのか?

関係者とのヒアリングで明らかになったのは,過去に記録されていないような規模の被害が津波により生じたこと,および,原子力発電所の爆発という「未曾有の出来事」であったが故に,「過去の経験は役に立たない」という思い込みが生じていたことである.同様に,東日本大震災直後のマスコミによる報道や,学識経験者の発言からも,過去の事例に基づく教訓を有効に活用するという意識は希薄であったことが読み取れる.

過去の事例に基づく教訓が有効に活用されなかった原因は多岐に亘るが,ここでは「知識の構造化が為されていないこと」を指摘したい.

過去に国内外で発生した自然災害については,日本人の実務者や研究者により多くの調査が実施され報告書が刊行されている.それらの報告書の中には,将来に於いて同様な自然災害が生じた場合に為されるべき対応が提言されている場合も少なくない.しかし,多くの報告書に記されている知見と提言を概観して,自然災害による生じる或る事象には如何なる対応が有効であるのか,あるいは,どのような選択肢が(現実の事例に纏わる多くの要素を考慮して)提示され選択されるべきであるのかを示唆するような「知識の構造化」への努力は希薄であり,「構造化された知識」を将来のために発信しようとする動きは更に希薄であったと言わざるを得ない.

これは,ひとたび災害が発生すると,その対応や調査の為に多くの資金と人材が投入されるものの,過去の事例を精査して,それらから有益な知見を抽出し,行政の現場で活用しようという動きには,有為な資金や人材が投入されてこなかったことの反映でもある.

2015年3月に仙台で開催された「第3回国連防災世界会議」でも,「自然災害に関するデータベース」あるいは「災害への対応に関するポータルサイト」の構築が幾つかのセッションで提案された.しかし,データベースやポータルサイトの構築は,それ自体は「知識の集積」が行われるに過ぎず,「知識の構造化」が為されて初めて,過去の事例に基づく教訓が有効に活用されることが関係者の間で十分に認識されているとは感じられない議論が横行していたと言わざるを得ない.

「知識の構造化」は自然科学の分野では古くから行われており,多くの「個々の事象に関する観察」を踏まえて,それらを一つの理論で説明しようとする努力が為されている.しかし,自然災害への対応の分野では,「個々の事象に関する観察」が積み重ねられているものの,それらにより蓄積された知識を構造化しようとする動きは明らかに不足している.

東日本大震災の直後から2年ほどは,「東日本大震災対応」の研究費が研究者に対して多く提供され,東日本大震災そのものに関する調査研究は盛んに実施された.そのような調査研究の価値は軽視されるべきではないものの,多くの調査では,東日本大震災により生じた事象に関する観察にのみ基づいた分析が為されており,過去の事象との比較分析を通じて「知識の構造化」を行うという視点は希薄であった.これは,酷い言い方をすれば,東日本大震災という「木」を見ることにのみ熱心であって,災害への対応の一般論という「森」を見ることには意識が向かっていなかったことを意味する.即ち,「木を見て森を見ず」への警鐘は,研究する側でもそれを資金的に援助する側でも鳴らされていなかった.

東日本大震災から4年が経ち,「東日本大震災対応」の研究費が提供されることも殆ど無くなり,研究者の関心も薄れつつあるように見受けられる.そのような現在に於いて為すべき事は,過去4年間に行われた東日本大震災に関する膨大な調査や研究により得られた知識を,東日本大震災以前あるいはそれ以降に生じた国内外での自然災害から得られた(やはり膨大な)知識と比較対照し,「知識の構造化」を実現し,そこから得られる普遍的な教訓を,政策提言として国際社会に発信することであろう.

国内外での事例から得られた様々な知見から「知識の構造化」を試み,それより現実の社会に対して有益な政策を提言することの意義と価値を,私達は国際共同研究を実施する過程で(ささやかながら)実感している.

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