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研究活動

研究プロジェクト

中国のユーラシア・チャレンジと日米同盟への示唆

計画書

研究代表者
(所属)
益尾知佐子(比較社会文化研究院)
研究関係者
(所属)
Edward Boyle(法学研究院)
研究期間 2018年8月-2019年3月
研究概要

中国の「一帯一路」がユーラシアの経済環境を劇的に再編しつつある。その政治、安全保障上のインプリケーションに関しては多くの研究が生み出されているが、その中心になっているのは、台頭する中国が、広大な世界を毛細血管のようにしっかりと網羅する、まるでひげ根のような力を持つ大国になりつつあるのではないかという問いである。しかしながら、そうした研究の多くは、大陸を貫く中国の強力な影響力が、各国別の区切られた空間を通して展開されるという、領土に依拠した国家中心的なロジックを維持したままである。
 本プロジェクトは、ユーラシアの政治空間が「一帯一路」によっていかに抜本的に再編されているのかという問題を検討する。古典的な国家中心的・領土的ロジックが、よりイノベーティブなものに置き換えられつつあるのではという観点から、本研究は中国の戦略の南北二つの弧に着目する。「一帯一路」の海上シルクロードのうち、南方ルートはインド洋で中国の「真珠の首飾り」を形成しつつあり、中国のインフラストラクチャーの寛大な恩恵を受けている国(スリランカ、モルディブ)、およびインドや米国といった他の地域的プレイヤーの双方から、強烈な反応を引き起こしている。またその間、2017年6月には北方ルートが「一帯一路」の中心的基盤として打ち出され、北極をめぐる地政学に再編を迫っている。本研究はその双方を比較することで、「一帯一路」が南北両面からユーラシアの政治空間をどのように変容させつつあるか分析し、それが日米両国にもたらすインプリケーションを検討していく。
 本研究はシルクロード戦略のもとで建設が進むインフラストラクチャーに焦点を当て、その地域への影響を分析する。ここで「インフラ」と呼ぶのは、インド洋を取り巻く新しい港で建設が進む、鉄とコンクリートからなる「ハード」な物体だけを指すのではない。むしろ、中国が海域の支配力を目指す際に活用できるような、衛星ナビゲーションシステムや規制的枠組みなどのより「目につきにくい」インフラを含む。これらのインフラを比較検討することによって、だんだんと形をなしつつある新たな政治空間の輪郭を識別し、日米同盟に重要な地位を与えてきた既存の地政学的条件がどのように変容しつつあるかを分析していく。

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