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研究活動

研究プロジェクト

古環境復元ツール「アルケノン分子温度計」の謎:温度情報の分子内記憶メカニズムとその気候変動研究への活用

計画書

研究代表者
(所属)
白岩善博(筑波大学教授)
研究関係者
(所属)
Prof. William D’Andrea (Columbia University, USA), Prof. Jaime L. Toney (University of Glasgow, UK)
研究期間 2018年9月-2019年3月
研究概要

(背景)
 地球環境変動の未来予測の精度を上げる有効な方法の一つとして、「古環境復元」による時系列データは非常に重要である。アルケノンは海底堆積物から発見同定された物質であり、その分子の解析から「アルケノン古海洋温度計」の開発が行われ、有機地球科学分野を中心に過去の海水表面温度の復元研究で中心的役割を果たしてきた。
その後、本研究関係者らを含む米国ブラウン大学チームが北米地域陸域やグリーンランドの湖沼においてアルケノンの存在を発見し、湖沼域の古環境温度復元にもアルケノン分子温度計の利用が可能であることが明らかとなり、現在、精力的な研究が開始されている。この状況下で、筑波大学の代表申請者およびグラスゴー大学のToney教授(ブラウン大学出身)は国際共同研究において、海洋及び湖沼に生息するハプト藻類種の探索を開始し、カナダ内陸部の塩湖におけるアルケノン合成種を初めて単離し、その単離株の同定と単藻培養株化に成功した(Organic Geochemistry 2018)。
さらに、筑波大学研究代表者らは、細胞内アルケノン生合成系・代謝系の研究を行い、ハプト藻類の遺伝子技術の適用に不可欠な形質転換系の確立に成功し、アルケノンの温度依存的不飽和化に関与する重要な遺伝子・酵素を発見した(Scientific Reports 2018a, b)。
「アルケノン分子温度計」は多くの環境復元ツールとして活用されているにもかかわらず、アルケノン分子の細胞内生合成・代謝機構の全容は謎であり、その解明が強く期待されている。
一方、D’Andrea教授グループ(コロンビア大学)は、人間生活によって引き起こされる環境変化や地球システムによる地球規模の気候変動のしくみについて研究を行ってきている。そして、最近では北極域の気候変動に関する研究を精力的に進めている。
 以上の各専門分野の研究者がそれぞれの研究成果を持ち寄り深く議論することによって、現在直面している地球規模の気候変動をどう解析し、どうその成果を問題解決に活用していくかを総合的に議論することが重要である。

(目的)
本研究は、過去1000万年ほどの海洋及び湖沼の表面温度(植物プランクトンなど光合成生物の生息環境)の復元に関し、40年ほど前に発見・新規開発された「アルケノン分子温度計」による海洋・湖沼の古環境温度復元研究に関する国際共同研究計画申請書である。本同研究の目的は、「湖沼のアルケノン生産藻類の解析を進め、アルケノン分子温度計の精度に影響する環境・生物学的要因を突き止め、アルケノン分子温度計の精度を高めるための研究を行い、それを気候変動問題解決に向けてどう活用していくかの議論を深める」ことである。

(手法)
(1) セミナー、シンポジウムなどを介して相互の研究情報を交換し、アルケノン分子温度計に関する問題点を整理し、解決する課題を議論する。
(2) 筑波大学代表研究者が開発したアルケノン生産藻類の形質転換系を活用し、湖沼から単離したアルケノン生産藻類株を用いた共同研究の具体的可能性について共通認識を形成するための議論を行う。
(3) (1)~(2)を踏まえて、USJI Voiceにおいてその議論の成果を公表する。

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