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研究活動

研究プロジェクト

金融危機の政治経済学

計画書

研究代表者
(所属)
中逵啓示(立命館大学国際関係学部教授)
研究関係者
(所属)
古川彰(立命館大学経済学部教授)、中戸祐夫(立命館大学国際関係学部教授)、樋原伸彦(立命館大学経営学部准教授)、佐々田博教(立命館大学国際教育推進機構准教授)、下野寿子(北九州市立大学準教授)、山神進(立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部教授)、吉松秀孝(立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部教授)
研究期間 2010年4月~2011年3月
研究概要

 現在進行中の米国発の金融危機をはじめ、日米に限っただけでも1930年代、1990年代、今回とエピソードが蓄積されてきたが、それらの金融危機の分析にあたっては、これまでは例えばcredit crunchのマクロ的影響などの経済学的分析が主たるものであった。しかしながら、どのような政策、政治プロセス、制度、が金融危機を引き起こし、また金融危機発生後どのように対応したのか、という諸点についての政治経済学(political economy)の視座からの包括的分析は、これまで限られていたように見える。(実際、今回の米国における政策対応も、日本の1990年代の経験があったにもかかわらず、必ずしも一貫したものではなかった。)本研究ではこのギャップを埋めることを目指す。
 本研究では、少なくとも1930年代、1990年代、今回、の日米発の金融危機のエピソードを、参加研究者の多角的な視点から分析する。具体的な研究課題としては、例えば、以下のようなものが考えられる。1)金融危機の発生を招いた制度の問題。金融監督行政、金融機関のリスク管理、等などに関する諸問題。 2)金融危機発生後の政策対応を決める政治プロセスの問題。および公的資金注入などの政策対応の事後的なパフォーマンス評価、中長期的な政治経済レジームへの影響なども比較分析。3)金融危機の背景としてのグローバル・インバランスと制度のリデザイン。金融危機の背後には必ずマクロ的なインバランスが存在する。今回の金融危機においても、米国と産油国・新興国・日本等の間に、ファイナンスと貿易の両面で大きなインバランスがあり、何らかの新たな制度デザインが求められている。(特にアジアにおいては中国の台頭への対応として、新たな地域システムが必要となる可能性が高い。)
 また、経済政治条件の違う発展途上国と先進国では、金融危機の背景及び発生後の政治的対応、経済的影響が異なってくる。例えば、90年代のアジア金融危機の事例と日米の事例の比較分析なども行っていきたい。

報告書

研究代表者
(所属)
中逵啓示(立命館大学国際関係学部教授)
研究関係者
(所属)
古川彰(立命館大学経済学部教授)、中戸祐夫(立命館大学国際関係学部教授)、樋原伸彦(立命館大学経営学部准教授)、佐々田博教(立命館大学国際教育推進機構准教授)、下野寿子(北九州市立大学準教授)、山神進(立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部教授)、吉松秀孝(立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部教授)
研究期間 2010年4月~2011年3月
実績概要

 2009年夏から開始した本研究会はこれまでにつごう八回開催された。その中では、古川とLeeが米国の経常収支の大幅赤字に焦点を当てながらグローバルインバランスの実態について報告した。グラーバルインバランスがもたらす世界経済の動揺から身を守る、あるいは米国経済に対する依存を削減するため域内経済の統合を図るアジア諸国の努力の経過については、山神がAPECによる貿易自由化のための話し合いを中心に振り返った。中戸は、むしろ一国による自由貿易協定締結の努力に焦点を当て、日韓を比較することよって日本側の立ち遅れについて警告を発した。もう1つのキープレーヤーである中国については、下野が高い経済成長をけん引してきたと考えられている沿岸諸都市の間でも、パフォーマンスにおいて差があることを厦門のケースに関する実証研究を提示し示した。中国に関しては本研究会のメンバーが参加した六大学シンポにおいて、賀平復旦大学教授が、日米貿易摩擦の教訓を中国がいかに米中貿易摩擦の交渉に活かすべきかについて報告を行った。そして、本研究会が中心となり11月に京都で開催した国際シンポにおいては、グローバルインバランスのもたらす影響について楽観(田所慶大教授)・悲観(Henningアメリカン大学教授、中逵等) 両面から議論するとともに、それに備える、あるいは大幅な変動から世界経済を救うという観点からアジア経済の可能性について話し合った。韓元韓国外相は基調演説で政治外交面も含めた総合的観点から、東アジア共同体による経済統合の可能性について議論した。APECとTPPの今後の可能性については浦田早大教授と樋渡東大教授は異なった観点から肯定的な報告を行った。ここに見られる、東アジア共同体なのか、それともアジア太平洋における経済統合が適切な統合の枠組みであるのかという、選択上のディレンマについてはソリス・アメリカン大学準教授が、2010年2月のワシントンでのUSJI Weekでのセミナーで再度提起した。同セミナーではワインスタイン・コロンビア大学教授が貿易金融の観点から、金融危機が貿易という実体経済に波及していった構造について説明した。樋原は、内外の金利差を利用したキャリートレードがアメリカにおける金余りひいてはサブプライム危機やリーマン・ショックの一因となったことを指摘し、グローバルインバランスの一実態について興味深い議論を展開した。
 以上の展開を踏まえ、研究会全体の報告性は「グローバルインバランスと地域(アジア・太平洋)の対応」というテーマに収れんしつつあり、それらを金融、貿易の両面から分析することになった。

活動内容・
研究成果

①研究会活動 2009年度の三回の研究会開催に続き、
第四回 2010年3月5日 古川彰 "Imbalance of the US Economy -- high potential growth and low savings"
第五回 3月19日 下野寿子 「対外開放の多様な実態:厦門はなぜ取り残されたのか」
第六回 11月19日 山神進「アジア太平洋経済協力(APEC)の模索する貿易・投資の自由化:2010年のAPEC首脳会議に向けての課題と展望」
第七回 2011年1月21日 Lee Kangkook, “Global Imbalances and the Global Financial Crisis”
第八回 3月18日 中戸祐夫 「米韓FTAと日本のFTA戦略」
①2009年9月22-23日の両日ワシントンDCで開催された日米研究インスティテュート第一回シンポに立命からは樋原、佐々田の二名の研究者が参加した。
②立命館大学はアジア太平洋各国の五大学と六大学シンポを毎年開催している。2009年は10月15-16日にかけてカナダトロント大学でGLOBAL CRISIS/GLOBAL RESEARCH: INTERNATIONAL PERSPECTIVES ON ECONOMIC TURMOILをテーマに開催され、立命から本研究会をベースに中戸、樋原(報告)、佐々田(報告)の三名が参加した。
③2010年2月1-2日ワシントンでの日米研究インスティテュート第二回シンポに立命からは中逵(報告)、佐々田の二名の研究者が参加した。
④10月5-6日に上海の復旦大学で、”Mutual Perceptions and Bilateral Relations”と題して六大学シンポが開催された。本研究会からは6名が出席し、中戸、吉松が報告。山神が司会、中逵、樋原が討論者を務めた。
⑤11月4日立命館大学にて、本研究会活動を基礎にUSJI主催”Can Asia Save the World Economy?”と題し、APEC日本開催記念シンポジウムを開催。樋原が第一セッションの報告者、中逵が第二セッションの司会を務めた。
USJI Week最終日である2月11日に、本研究会によるセミナー、The Current Global Financial Crisis and Its Effects on US, Japan, and Asia Pacific Region,”と題し、米国の研究者二名を加え開催。中逵が司会、樋原が報告。

関連イベント
のURL

http://www.us-jpri.org/week/feb2011#seminar6

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