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研究活動

研究プロジェクト

日米市民社会の比較研究

計画書

研究代表者
(所属)
辻中 豊(筑波大学)
研究関係者
(所属)
ロバート・ペッカネン(ワシントン大学)
研究期間 2012年4月~2013年3月
研究概要

 日米のより深い政治の相互理解のためには市民社会レベルの理解が不可欠である。
 社会で活動する様々な集団(社会集団)は、個人と社会を媒介する機能を担っている。社会集団の活動空間は市民社会と呼ばれる。市民社会の構造は、市場や家族だけでなく、国家(政治社会)の様態によって規定されている。そのため、市民社会構造を解明することは、政治社会構造を解明することにつながる。しかし、経験的な調査データを用いた市民社会の比較研究は、世界的に見て端緒についたばかりである。
 筑波大学に拠点を置くJIGS(Japan Interest Group Study)研究チームは、現在までに14か国における市民社会の調査研究を行ってきた。その一環として、日本では1997年と2006-7年にサーベイ調査を実施し、『現代日本の市民社会・利益団体』(木鐸社、2002年)、『現代社会集団の政治機能』(木鐸社、2010年)等を刊行した。米国では1999年と2009-10年にサーベイ調査を実施し、英文学術書を近刊予定である。
 本年度は、米国調査の研究成果を日本調査の研究成果と比較し、両国の共通点、相違点を探る。具体的には、日米両国で刊行する書籍の内容を比較検討したうえで、両国のデータを用いて団体の政党との関係、政治行動、ロビイングについて比較分析を行う。

報告書

研究代表者
(所属)
辻中 豊(筑波大学)
研究関係者
(所属)
ロバート・ペッカネン(ワシントン大学)
研究期間 2012年4月~2013年3月
実績概要

 日米の政治の相互理解を推進することを目的として、市民社会レベルの調査研究を進めた。
 アメリカでは、1999年と2009-10年に実施した市民社会組織に対するアンケート調査の分析を進めた。2011年3月に米国ジョージタウン大学で開催した研究会(The Conference on Nonprofits and Advocacy)の成果を原稿にまとめた。2012年10月にJohns Hopkins University Pressとの契約が成立し、『Nonprofits and Advocacy』を近刊予定である。
 日本では、2009年に成立した民主党連立政権下、および、2011年の東日本大震災後の市民社会組織の動向を調査した。第一に、全国規模で活動する主要675団体を対象としたインタビュー調査を実施した。過去に3度(1980年、1994年、2003-4年)行われた調査との比較分析を進めた。第二に、地球環境政策ネットワーク調査を実施した。政党、官公庁、企業、団体、NGOを対象として、東日本大震災後の地球温暖化対策への対応などを質問した。今後、1997年に実施した第一次調査と比較しながら分析を進める予定である。第三に、東京都や宮城県など11都府県に所在する市民社会組織を対象として、アンケート調査を実施した。過去に2度(1997年、2006-7年)行われた調査との比較分析により、東日本大震災後の状況を解明する予定である。
 なお、当初の計画では2012年度に日米両国の比較研究にとりかかり、国際ワークショップを開催することを目標としていた。しかし、2012年に民主党連立政権から自公連立政権への政権交代が起きたため、また、東日本大震災の影響を精査することに注力するため、研究計画を変更し、日米比較は次年度以降に持ち越さざるを得なかった。

活動内容・
研究成果

【アメリカ】
・Steven R. Smith, Robert Pekkanen, and Yutaka Tsujinaka(共編)『Nonprofits and Advocacy』(Johns Hopkins University Press、近刊)の刊行・所収予定論文は以下の通り: 1)The Group Basis of City Politics (Jeffrey M. Berry and Kent E. Portney, Tufts University); 2)Shaping the Government-Nonprofit Partnership: Direct and Indirect Advocacy(Elizabeth T. Boris and Matthew Maronick with Milena Nikolova); 3)Gender Identity and the Shifting Basis of U.S. Women’s Groups’ Advocacy, 1920-2000 (Kristin A. Goss, Duke University); 4)Building a Political Voice for American Children: a Century of Organizing for Child Well-being(Doug Imig, University of Memphis and the Urban Child Institute; 5)Nonprofit Advocacy in the Nation’s Capital (Carol J. De Vita, Milena Nikolova, and Katie L. Roeger, The Urban Institute); 6)Enabling & Constraining Advocacy Practices through Human Service Networks (Jodi Sandfort, University of Minnesota); 7)Affirmative Advocacy in Hard Times: Representing Marginalized Groups in Times of "National Crisis" (Dara Z. Strolovitch, University of Minnesota).

【日本】
・主要675団体を対象としたインタビュー調査の実施(4月~8月)。対象は日本経済団体連合会、日本労働組合総連合会など。『団体に関する調査 結果報告書(速報値)』(筑波大学、2013年3月)を公表(http://cajs.tsukuba.ac.jp/2013/03/23-24.html)。
・地球環境政策ネットワーク調査の実施(11月~3月)。対象は主要政党、中央省庁、主要企業、団体など。2013年度初頭に第1次報告書を刊行予定。
・市民社会組織調査の実施(11月~3月)。対象は職業別電話帳「団体・組合」記載の16,746団体。2013年度初頭に第1次報告書を刊行予定。
・過去に実施した調査の分析を進め、日本政治学会編(2012)『現代日本の団体政治[年報政治学2012-Ⅱ号]』木鐸社(編集委員長・辻中豊)を刊行した。目次:1)日本の消費者団体のシステム(井上拓也・茨城大学)、2)新自由主義的教育改革の政治過程とその分析視角(森裕城・同志社大学)、3)政権交代の団体-政党関係への影響(濱本真輔・北九州市立大学)、4)震災復興と利益団体(河村和徳・東北大学)、5)規制緩和と利益団体政治の変容(秋吉貴雄・中央大学)、6)高金利引き下げ運動にみる大企業と市民団体の影響力(上川龍之進・大阪大学)、7)ロビイング戦術の階層構造(山本英弘・山形大学)、8)NPO-行政間の協働の規定要因分析(坂本治也・関西大学)、9)市民なき市民社会からの脱却(大西裕・神戸大学)、10)欧米の利益集団研究(伊藤光利・関西大学)。
・『政治構造変動と圧力団体、政策ネットワーク、市民社会の変容に関する比較実証研究』および東日本大震災学術調査委員会『政治政策班』共同研究会を実施(2012年8月7日、筑波大学)。参加者:秋吉貴雄(熊本大学)、伊藤光利(関西大学)上川龍之進(大阪大学)、河村和徳(東北大学)、辻中豊(筑波大学)、村松岐夫(日本学術振興会)、森裕城(同志社大学)、久保慶明(筑波大学)、木島譲次(筑波大学)。

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